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生活インフラ・サービスの解約全集:新聞・JAF・ウォーターサーバーの罠

地味に痛い出費を止める。JAF家族会員の救出、新聞の防犯リスク、そして解約金が高額なウォーターサーバーやレンタルWi-Fiの「違約金免除」テクニック。

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1. 生活の「蛇口」を締める:地味に痛い固定費の連鎖

葬儀、準確定申告、遺産分割...。大きな手続きに追われている遺族を、背後からじわじわと攻撃してくるのが「生活関連サービスの月額課金」です。

新聞、牛乳配達、JAF、月極駐車場、クリーニング、ウォーターサーバー、レンタルWi-Fi、スポーツジム...。 一つひとつは月額3,000円〜5,000円程度かもしれません。しかし、これらは「解約の電話」を一本入れない限り、故人が亡くなった後も永遠に引き落としが続きます。また、新聞や牛乳が玄関先に溜まることは、「この家は今、留守です」と空き巣に大声で宣伝しているようなものであり、防犯上の最優先事項でもあります。

本記事では、見落としがちな生活インフラの解約・承継リストと、高額な違約金を回避するための交渉術をまとめました。


2. 【Case Study】「放置」が招いた防犯リスクと金銭トラブル

[Case Study 1] 新聞のストップ漏れが「空き巣」を呼んだ事例

一人暮らしの父が亡くなり、葬儀のために家族全員が1週間ほど実家に泊まり込み、その後全員が自宅へ戻った。新聞販売店への連絡を忘れていた。

  • 結末: 2週間後、実家に戻るとポストから新聞があふれ出し、玄関前に散乱していた。そして窓ガラスが割られ、室内が荒らされていた。現金はなかったが、父の形見の時計や貴金属が盗まれた。郵便物の一時停止はしていたが、「新聞は郵便局とは別」という認識が抜けていたことが招いた悲劇です。

[Case Study 2] ウォーターサーバーの「違約金2万円」

母が契約していたウォーターサーバー。機械を回収してもらおうと業者に連絡したところ、「契約期間(3年)以内の解約なので、違約金2万円とサーバー回収手数料5,000円がかかります」と言われた。

  • 対策: 相続人は「契約者死亡による強制解約」であることを強く主張し、死亡診断書のコピーを提出することを条件に、違約金の全額免除を勝ち取った。業者のマニュアルには「死亡時は免除」という規定があることが多いが、こちらから言わないと通常通り請求されるケースがある。

3. 分野別:「生活インフラ」解約・承継チェックリスト

遺品整理の際、以下のサービスの「痕跡(請求書、機材、カード明細)」がないかチェックしてください。

① 乗り物・交通系

  • JAF(日本自動車連盟):
    • 重要: 故人が「個人会員」で、家族が「家族会員」になっている場合、故人の退会と同時に家族会員も自動退会となり、ロードサービスが受けられなくなります。
    • 正解: 退会する前に「名義変更(家族会員を個人会員へ昇格)」の手続きを相談してください。入会金の免除や、継続年数の引き継ぎができる場合があります。
  • 月極駐車場:
    • 多くの契約書には「解約は1ヶ月前予告」とあります。車を処分する日が決まったら、即座に不動産屋または大家へ連絡してください。日割り計算してくれるかは契約次第です。

② 飲食・宅配系

  • 新聞:
    • 販売店へ電話一本で止まります。未配達分の料金は日割りで精算、または「香典代わり」として免除してくれるお店も多いです。
  • 牛乳・ヤクルト・生協(コープ):
    • オートロックのない戸建ての場合、保冷箱が玄関前に放置されるリスクがあります。直ちに停止し、箱の回収を依頼してください。出資金(生協)の返還手続きも忘れずに。
  • ウォーターサーバー:
    • 「サーバー(機械)」はレンタル品がほとんどです。捨ててはいけません。回収手配が必要です。
    • 交渉術: 「死亡による解約です。違約金(解約金)の免除規定はありますか?」と必ず聞いてください。

③ 通信・レンタル系

  • レンタルWi-Fi / モバイルルーター:
    • 契約期間縛りが厳しい業界です。端末(ルーター本体)の返却を怠ると、高額な機器賠償金(2万〜4万円)を請求されます。
  • レンタル介護用品:
    • 介護ベッドや車椅子。これらは介護保険適用で安く借りていますが、「死亡日」をもって介護保険の適用が終了します。翌日以降も置いておくと、実費(全額自己負担)でのレンタル料が発生する場合があります。速やかにケアマネジャーへ連絡し、回収を依頼してください。

4. プロの知恵:クリーニング店と「思い出」の引き取り

意外と盲点なのが、街のクリーニング店です。

「預けっぱなし」のスーツ

故人の財布の中、ワイシャツのポケット、冷蔵庫のマグネットなどを確認し、「クリーニングの引取伝票(控え)」がないか探してください。

  • 保管期間: 多くの店では、仕上がりから半年〜1年経過した服は処分できる規約になっています。
  • 最後の服: 故人が最期に着ようとしていたお気に入りのスーツや、大切な着物が店に残されているかもしれません。伝票がなくても、名前と電話番号でお店に照会してもらう価値はあります。

5. 携帯電話(スマホ)解約の「デッドライン」

スマホの解約は、「早ければ早いほどいい」わけではありません。

⚠️ 解約待った!のチェックポイント

解約(または番号消滅)すると、以下のことができなくなります。

  1. SMS認証(2段階認証)の突破: 銀行、証券、各種Webサービスへのログインには、本人確認のためにSMSでコードが送られてくることが多いです。スマホを解約すると、これらの資産にアクセスできなくなります。
    • 推奨: 銀行等の手続きが全て終わるまで、または「基本料金最安プラン」に変更して、番号だけは数ヶ月維持することを強くお勧めします。
  2. LINEの履歴: アカウントが削除されると、友達とのトーク履歴や写真も消えます。

違約金と割賦残債(端末代)

  • 「2年縛り」違約金: ドコモ、au、ソフトバンク等の大手キャリアでは、死亡による解約の場合、違約金は免除されます(現在はそもそも違約金がないプランが主流ですが)。
  • 端末代の残り: iPhoneなどを分割払いで買っていた場合、未払い分(残債)は一括請求されます。これも相続債務です。支払いが難しい場合、端末を返却することで免除されるプログラムに入っていないか確認してください。

6. 【FAQ】生活インフラ相続のサバイバル知恵袋

Q. 故人の名前で届く「通販カタログ」や「DM」を止めたい。 A. 「受取拒否」付箋を活用してください。 一軒ずつ電話するのは現実的ではありません。届いたDM(未開封のものに限る)に、「受取拒否。受取人死亡」と書いた付箋やメモを貼り、赤いペンで署名または押印して、そのまま郵便ポストに投函してください。郵便局が差出人に返送してくれます。これで差出人リストから削除されます。

Q. スポーツジムの会費が、死後も引かれ続けています。 A. 「来店」しないと止まらないケースが多いです。 多くのジム(エニタイム、コナミ、ルネサンス等)は、本人が窓口に来ないと退会できない規約です。死亡時は、代理人が「会員証」と「死亡の証明」を持って店舗に行く必要があります。電話だけでは止めてくれないことが多いので、優先的に動いてください。遡って返金されるかは交渉次第です。

Q. 亡くなった父の車を、私が運転してもいいですか? A. 自動車保険(任意保険)の適用範囲を確認してください。 車の名義変更前であっても、相続人であれば運転すること自体は可能です。しかし、保険が「本人限定」や「配偶者限定」になっていると、子が運転して事故を起こしても保険金が出ません。「年齢条件」も要注意です。乗る前に必ず保険会社へ連絡し、条件変更を行ってください。


7. 結論:生活サービスの整理は「心の整理」である

新聞を止め、牛乳箱を返し、スマホを解約し、クリーニングを取りに行く。 これらは事務的で地味な作業ですが、物理的に「故人の生活の痕跡」を片付けていくプロセスでもあります。 一つ解消するたびに、寂しさと共に「ああ、本当に終わったんだな」という実感が湧いてくるでしょう。

日常の「モノとサービス」に決着をつけたら、最後は最も頼りになる「現金」の話。 葬儀費用の救世主、生命保険・共済金の請求手続きと「500万円非課税枠」の活用(Article 45) で、確実に受け取るべきお金を受領し、すべての手続きを完了させましょう。

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