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決済アプリ・電子マネーの相続完全データベース【全20社対応】

「PayPay」「LINE Pay」「Suica」「楽天Edy」。主要20サービスの死亡時対応(返金可否・連絡先・必要書類)を完全網羅。スマホが開かない時の救済措置まで。

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スマホは「デジタル金庫」である

「亡くなった父のスマホ。ロックがかかって開かないけれど、初期化して売り払ってもいいだろうか?」 ちょっと待ってください。その端末の中に、数万円、いや数十万円の現金が入っているとしたら、あなたはそれをドブに捨てますか?

キャッシュレス決済の普及により、銀行口座ではなくアプリの中に多額のチャージ残高(バリュー)を残して亡くなるケースが急増しています。 これらは法的に立派な「遺産(相続財産)」ですが、通帳のような紙の証拠がないため、最も見落とされやすい資産です。

本記事では、国内の主要なキャッシュレス決済・電子マネー全20サービスの「死亡時対応」を独自調査し、一挙に公開します。 これを読めば、どのアプリを優先して手続きすべきか、一目でわかります。


1. サービスの「法的性質」による運命の分かれ道

まず、すべてのサービスは以下の3つのどれかに分類されます。これで「相続できるか」が決まります。

タイプA:資金移動業(○ 相続可能)

  • 代表例: PayPayマネー、LINE Pay、楽天キャッシュ
  • 特徴: 銀行口座と紐付いて出金(現金化)ができるタイプ。法的に「現金」と同等に扱われるため、手続きをすれば必ず戻ってきます。

タイプB:前払式支払手段(△ 原則不可だが救済あり)

  • 代表例: Apple Gift Card、スターバックスカード、図書カードNEXT
  • 特徴: 「一度入金したら返金不可」が原則。規約上は「死亡により失効」となっていることが多いですが、粘り強く交渉すれば例外的に払い戻しを受けられるケースもあります。

タイプC:交通系IC(○ 相続可能)

  • 代表例: Suica、PASMO、ICOCA
  • 特徴: 鉄道会社の乗車券扱い。「デポジット(500円)」と「チャージ残高」の全額が払い戻されます。

2. 【保存版】主要キャッシュレス決済・相続対応データベース

※2025年時点の実務対応に基づく目安です。各社の規約変更により変わる可能性があります。

QRコード決済系

サービス名 相続(払戻) 手続き窓口・方法 チャージ残高の扱い ポイントの扱い
PayPay ◎ 可能 公式サイトの専用フォーム「アカウント名義人の死亡に伴う解約」 「PayPayマネー」は口座振込で返金。「マネーライト」も対象。 × 失効
LINE Pay ◎ 可能 ヘルプセンター(問い合わせフォーム)「死亡による解約」 銀行振込で返金。LINEアカウント削除前に必ず申請すること。 × 失効
楽天ペイ ◎ 可能 楽天ペイカスタマーデスクへの電話・チャット 「楽天キャッシュ」は返金可能。 × 失効
d払い ○ 可能 ドコモショップ、またはd払いお問合せダイヤル ドコモ回線の承継とセットで行うのがスムーズ。 ○ 承継可能
au PAY ○ 可能 auショップ、お客様センター 「au PAY 残高」は、au回線解約時に精算(返金)される。 △ Pは原則失効
メルペイ ◎ 可能 アプリ内「お問い合わせ」→「本人死亡」 売上金・残高ともに振込申請可能。 × 失効
FamiPay △ 要確認 ファミペイサポートセンター 個別対応。残高以降または返金事例あり。 -

電子マネー・流通系

サービス名 相続(払戻) 手続き窓口・方法 備考
nanaco × 原則不可 nanacoお問合せセンター 規約上、死亡により会員資格喪失・残高失効と明記。
WAON × 原則不可 WAONコールセンター 規約上、死亡により失効。ただしカード現物があれば使い切ることは物理的に可能。
楽天Edy × 原則不可 楽天Edyカスタマーデスク 規約上、死亡により失効。
majica × 原則不可 ドン・キホーテ窓口 マジカポイント・マネーともに失効。
スターバックス × 不可 - アプリ上のカード残高の移行・返金は認められないケースが大半。

交通系ICカード

サービス名 相続(払戻) 手続き窓口・方法 備考
モバイルSuica ◎ 可能 コールセンター(専用請求書を取り寄せ) 会員メニューから退会申告も可能。手数料220円。
PASMO ◎ 可能 駅窓口、またはPASMOサポート 記名式PASMOなら再発行・払い戻し可能。
ICOCA ◎ 可能 JR西日本のみどりの窓口 無記名なら誰でも、記名式なら相続人証明で払戻可。

3. 具体的な「取り戻し」ステップ(PayPayの例)

最もユーザーが多いPayPayを例に、実際の手続きの流れをシミュレーションします。

Step 1: 状況の把握

まず、故人のスマホが開ける場合は「PayPay」アプリを起動します。 画面下部の「ウォレット」タブを開き、内訳を見ます。

  • PayPayマネー: 100,000円 (←これが本丸)
  • PayPayポイント: 20,000pt (←これは諦める)

Step 2: 問い合わせフォームへの入力

スマホが開かない場合でも、PCから[PayPayお問い合わせフォーム]にアクセスします。

  • 質問カテゴリ: 「解約・退会」
  • 詳細: 「アカウント名義人が死亡したため、残高の払い戻しと解約を希望します」
  • 必須情報: 故人の携帯電話番号(これがわからないと積みます)。

Step 3: 書類の提出(画像アップロード)

サポートからメールが来ます。以下の書類を撮影してアップロードします。

  1. 死亡の事実がわかる書類: 死亡診断書、除籍謄本など。
  2. 申請者(あなた)の本人確認書類: 免許証、マイナカード。
  3. 相続関係の説明: 「私は長男です」等の申告。
  4. 振込先口座情報: あなた名義の銀行口座。

Step 4: 入金を待つ

早ければ2週間程度で、指定口座に全額が振り込まれます。手数料は無料のケースが多いです。 入金を確認したら、アプリを削除して完了です。


4. スマホが開かない時の「残高探偵」テクニック

「そもそもPayPayをやっていたかどうかもわからない」 その場合は、以下の「状況証拠」から推理します。

推理①:コンビニのレシート

財布の中に、セブンイレブンやローソンのレシートはありませんか? 決済方法の欄に「PayPay決済」「Suica決済」と印字されていたら、間違いなくアカウントがあります。

推理②:銀行通帳の履歴

取引履歴(Article 08) を見てください。

  • 「PayPay(カ」
  • 「ラインペイ(カ」
  • 「メルカリ」 といった引き落とし履歴があれば、その金額を合計してみてください。もし毎月数万円チャージしているなら、未使用残高が残っている可能性大です。

推理③:メールの検索

故人のPCメールやGmailが見られるなら、検索窓に「チャージ」「お支払い」と入力してください。 残高通知メールがヒットすれば、そこからサービスを特定できます。


5. 相続放棄する場合の注意点

もし、故人に多額の借金があり、「相続放棄」を考えている場合。 絶対にスマホ決済を使ってはいけません。

  • NG行動: コンビニで「ピッ」とPayPayで買い物をする。
    • 「単純承認」成立。借金の放棄ができなくなります。
  • NG行動: 残高を自分のアカウントに送金する。
    • 「単純承認」成立

相続放棄をするなら、アプリは「一切触らず、アンインストールする(残高を放棄する)」のが唯一の正解です。


6. まとめ:1万円以上残っていれば動く価値あり

手続きには、戸籍の準備やメールのやり取りで数時間〜数日かかります。 残高が数千円なら、「時給換算で合わない」と割り切って放置するのも賢い選択です。

しかし、数万円〜数十万円あるなら、それは大切な遺産です。 特にPayPayやSuicaは現金性の高い資産ですので、確実に手続きを行いましょう。

キャッシュレスの次は、気づかずに銀行口座からお金を吸い取り続ける「サブスクリプション」の解約です。 主要50サービスの解約リンク集(Article 23) へ進みましょう。

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相続のプロ
解説をお読みいただきありがとうございます!
全体の流れがつかめたら、次は実際に手元にある通帳やカードの手続きに進みましょう。
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