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相続登記の登録免許税が0円になる2つのケース|100万円以下の土地・数次相続と2027年3月31日期限

相続登記では通常、土地の価額に0.4%の登録免許税がかかりますが、一定の土地は2027年3月31日まで免税になります。100万円以下の土地、相続登記をしないまま次の相続が発生した場合、持分の計算、建物は対象外、申請書への根拠条文記載などを解説します。

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相続登記をする前に「登録免許税が0円にならないか」を確認したい

不動産を相続して相続登記をするときは、原則として登録免許税がかかります。

相続による所有権移転登記の税率は、原則として不動産の価額の0.4%(1,000分の4)です。

たとえば、相続登記の課税価格が1,000万円なら、単純計算では登録免許税は4万円です。

ところが現在、一定の土地については、相続登記の登録免許税が免税になる特例があります。

法務省は2026年9月7日に、相続登記義務化や相続土地国庫帰属制度などをまとめた資料を更新しており、この免税措置についても改めて案内しています。

特に重要なのは、次の2つです。

  1. 不動産の価額が100万円以下の土地
  2. 土地を相続した人が、相続登記をしないまま亡くなった場合の中間の相続登記

いずれも、現在の適用期限は2027年3月31日です。

2024年4月1日より前の相続について、相続登記義務化の経過措置で最短の期限となるのも2027年3月31日です。

つまり、古い相続を整理している方にとって、2027年3月31日は「登記の期限」と「免税特例の期限」が重なる重要な日です。

相続登記の期限そのものについては、法務局から「長期間相続登記がされていないことの通知」が届いたときの対応も確認してください。


1. 通常の相続登記では登録免許税はいくらかかる?

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として次の考え方で計算します。

課税価格 × 0.4%

ここでいう「不動産の価額」は、売却価格や購入価格ではありません。

法務局は、所有権移転登記における課税価格について、基本的には固定資産課税台帳に登録された価格を基礎にすると案内しています。

固定資産税の納税通知書に付いている課税明細書では、「価格」「評価額」などの欄を確認します。

なお、公衆用道路など固定資産課税台帳に価格がない土地では、登記所が認定する価格を使う場合があります。

登録免許税は相続税とは別

登録免許税は、相続税がかかる家庭だけに発生する税金ではありません。

相続税の申告が不要な家庭でも、不動産の相続登記をすれば登録免許税が必要になることがあります。

「うちは相続税がかからないから登記の税金もゼロ」とは限らないので注意してください。

相続全体でかかる費用については、相続手続きにかかる費用と実費も参考になります。


2. 免税その1:価額が100万円以下の土地

最も確認しやすい免税特例が、不動産の価額が100万円以下の土地です。

法務局は、土地について相続による所有権移転登記を受ける場合などに、その不動産の価額が100万円以下であれば、2027年3月31日まで登録免許税を課さないと案内しています。

全国の土地が対象になり得る

古い解説では、

  • 市街化区域外だけ
  • 法務大臣が指定した土地だけ
  • 10万円以下だけ

といった説明が残っていることがあります。

これは過去の制度内容です。

現在は制度が拡充され、全国の土地について、不動産の価額が100万円以下であれば対象になり得ます。

相続登記を何年も放置していた地方の山林、原野、私道持分、小さな宅地などでは特に確認したい特例です。

「100万円」は売れる値段ではない

ここでいう100万円は、不動産会社の査定額や実際の売買価格ではありません。

原則として、登録免許税の課税標準となる固定資産課税台帳の価格で判定します。

「田舎の土地だから市場価格はほぼゼロ」という感覚だけで判断せず、固定資産税の課税明細書などを確認してください。


3. 土地が複数ある場合、合計100万円を超えたらダメ?

ここは実務で間違えやすいポイントです。

法務局の登録免許税計算資料では、免税の判定は土地ごとに行うことが示されています。

たとえば、

  • A土地:評価額90万円
  • B土地:評価額80万円
  • C土地:評価額70万円

を一度に相続登記する場合、合計は240万円です。

しかし、それぞれの土地が100万円以下であれば、各土地について免税特例の対象になり得ます。

「登記する土地全部の合計が100万円以下でなければ使えない」わけではありません。

土地を何筆も相続するケースでは、1筆ずつ評価額を確認することが重要です。


4. 共有持分を相続するときは「持分相当額」で判定する

土地そのものの評価額が100万円を超えていても、故人がその土地の一部の持分だけを持っていた場合は、免税になる可能性があります。

法務局は、所有権の持分を取得する場合の「不動産の価額」について、

土地全体の価額 × 取得する持分割合

で計算すると案内しています。

例:評価額300万円の土地の4分の1を相続

土地全体の価額:300万円
故人の持分:4分の1

300万円 × 1/4 = 75万円

この場合、相続する持分に対応する不動産の価額は100万円以下となるため、他の要件を満たせば免税対象になり得ます。

私道の共有持分や、親族で共有している土地などでは確認しておきたいポイントです。


5. 注意:100万円以下でも「建物」はこの特例の対象ではない

この免税措置で特に注意したいのは、法務局が対象としているのが土地だということです。

たとえば、

  • 土地:評価額80万円
  • 建物:評価額300万円

という不動産を相続する場合、土地は100万円以下の土地として免税対象になり得ますが、建物まで自動的に免税になるわけではありません。

相続登記の申請で土地と建物をまとめて扱う場合でも、登録免許税の計算では免税対象の土地を除いて課税価格を計算する必要があります。

「土地が100万円以下だから家全体の登記が無料になる」という理解は誤りです。


6. 免税その2:相続登記をしないまま、相続人も亡くなった場合

もう一つ重要なのが、相続が2回以上続いているケースです。

たとえば、

  1. 祖父Aが亡くなり、父Bが土地を相続した
  2. しかしA→Bの相続登記をしなかった
  3. その後、父Bも亡くなった
  4. 子Cが相続手続きを始めた

というケースです。

このように、最初の相続登記が終わらないうちに次の相続が発生することを、一般に「数次相続」と呼びます。

法務局は、Aから土地を相続したBが、その相続登記をしないまま亡くなった場合、Bを登記名義人とするために行う中間の相続登記について、2027年3月31日まで登録免許税を免税すると案内しています。

「最終的な相続登記が全部無料」という意味ではない

ここは重要です。

免税になるのは、要件を満たす中間の相続登記です。

BからCへの最終的な登記についてまで当然に免税になるわけではありません。

ただし、B→Cの登記についても、土地の価額が100万円以下など、別の免税要件を満たせば免税になる可能性があります。

何代も名義変更されていない土地では、登記の順番と、それぞれの登記にどの免税規定が使えるかを分けて確認してください。

戸籍が何世代にもわたる場合は、相続で必要な戸籍の集め方と法定相続情報一覧図の作り方も役立ちます。


7. 最大の落とし穴:申請書に「免税の根拠条文」を書く必要がある

この特例は、条件を満たしていれば法務局が自動的に税額をゼロへ直してくれる、という扱いではありません。

法務局は、免税を受けるには申請書へ免税の根拠となる法令の条項を記載する必要があると明記しています。

現在の法務局の案内では、次のように記載します。

数次相続の中間登記

「租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税」

100万円以下の土地

「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」

法務局は、これらの記載がない場合は免税措置を受けられないと案内しています。

古い資料の条番号に注意

インターネット上の古い法務局資料や解説記事には、「第84条の2の3」と書かれているものが残っています。

現在の法務局本局の案内では「第84条の2の2」となっています。

自分で登記申請書を作る場合は、古い書式をそのまま流用せず、申請時点の法務局の最新様式・案内を確認してください。


8. 2027年3月31日は「登記義務」と「免税」の両面で重要

2026年9月現在、2027年3月31日まで約半年です。

2024年4月1日より前に発生した相続についても、相続登記義務化の対象になっています。

すでに相続したことと不動産を取得したことを2024年4月1日以前から知っていた場合、原則として2027年3月31日までが経過措置の期限となります。

一方、今回紹介した登録免許税の免税措置も、現在のところ2027年3月31日までです。

そのため、

  • 祖父母名義の土地が残っている
  • 何代も相続登記をしていない
  • 地方の山林や原野がある
  • 私道持分がある
  • 評価額の低い土地が複数ある

という場合は、先送りせず、まず登記簿と固定資産税の課税明細書を確認する価値があります。


9. 自分で確認するときのチェックリスト

相続した不動産がある場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 登記事項証明書で現在の登記名義人を確認する
  2. 固定資産税の課税明細書で土地ごとの評価額を確認する
  3. 建物と土地を分けて考える
  4. 共有持分なら、評価額に持分割合を掛ける
  5. 過去の相続登記が飛ばされていないか確認する
  6. 100万円以下の土地がないか確認する
  7. 免税を使う場合は、申請書に根拠条文を記載する
  8. 2027年3月31日までに申請できるよう準備する

故人名義の不動産自体を把握できていない場合は、2026年2月から始まった所有不動産記録証明制度も利用できます。

また、相続人の関係を一枚に整理して複数の手続きで使うなら、法定相続情報証明制度も便利です。


よくある質問

Q. 土地の市場価格が100万円以下なら免税ですか?

市場価格では判断しません。原則として、登録免許税の課税標準となる固定資産課税台帳の価格を確認します。

Q. 土地3筆の合計が100万円を超えています。免税は使えませんか?

各土地の価額が100万円以下であれば、それぞれの土地について免税対象になり得ます。合計額だけで判断しないようにしてください。

Q. マンションも対象になりますか?

マンションでは土地の敷地権と建物を分けて考える必要があり、権利関係や評価方法も戸建てより複雑です。「物件価格が100万円以下」というだけでは判断できません。登記申請前に法務局や司法書士へ確認するのが安全です。

Q. 100万円以下の土地なら何もしなくても税金は0円になりますか?

いいえ。法務局は、免税を受けるためには申請書へ根拠となる法令の条項を記載する必要があると案内しています。

Q. 相続登記そのものの義務も免除されますか?

されません。登録免許税の免税と、相続登記の申請義務は別の制度です。免税対象の土地でも、相続登記義務がなくなるわけではありません。


まとめ:評価額の低い土地ほど「税金が少ないから後回し」にしない

相続した土地の価値が低いと、

「売れそうにない」 「税金も大したことはない」 「急いで名義変更しなくてもいい」

と後回しにしがちです。

しかし現在は、相続登記が義務化されています。

一方で、価額が100万円以下の土地や、相続登記をしないまま次の相続が発生したケースには、登録免許税の免税措置があります。

ポイントは次の4つです。

  • 100万円以下の土地は免税対象になり得る
  • 共有持分は持分相当額で判定する
  • 数次相続では中間の相続登記が免税になる場合がある
  • 申請書に現在の根拠条文を書かないと免税を受けられない

そして、現在の適用期限は2027年3月31日です。

古い相続登記を残している場合は、登記義務の期限が迫っている今こそ、固定資産税評価額と登記名義を確認してください。


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